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Togglによる業務の見える化と改善

インフラエンジニアの中野(etsxxx)です。今回は、我々のインフラグループで業務の見える化として利用しているTogglについて、その利用方法と効果を紹介します。Togglは既に2年ほど利用しているツールとなっており、一定の成功事例として紹介できる状態かと思います。

要約

  • チームにおいてアジャイル開発(というよりスプリント計画)がうまく機能していなかった。
  • Togglを使い始めたことで、計画やチーム運営が改善された。
  • Togglは緩いルールで運用し、分析と改善のために利用し、批判には利用しない。

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Togglに至る背景

リブセンスのエンジニアリング領域では全社的にアジャイル開発に基づくタスク管理が行われています。我々インフラグループでもそれは同様でスプリントの計画をしていますが、一方で、課題感を感じていました。

見積もりのズレが多いということです。

原因としてはいくらでも想像がつくと思いますので割愛しますが・・・ 結果としてチケットは消化されないことが多く、スプリント計画においてその反省の言葉が多く出るというネガティブな状況が続いていました。

こういった背景から我々は「このスプリントに何をしていたのか」=「過去を把握する」方法を考えるようになりました。

過去を把握するツールとして我々はTogglを選びました。

Togglってなんだ?という疑問には、こちらの45秒の動画を見てもらうのが速いと思います。

こどもたちが可愛い 動画でも中央に出ていますが、Togglのメインの機能とは「何に」「何分」使ったか記録するだけです。

選定理由と同義の「使い方」については後述していますが、最たる選定理由は(選定当時は)TogglのUIが最も我々の利用方法に適していたからでした。Toggl類似のツールは世の中にたくさんあるので、自分たちにあったものを選べばいいと思います。

どんな使い方をしているのか

前提

前提として、Togglには以下の概念があります。(上から下に向かって、詳細度が高い)

  • プロジェクト (Project)
  • タスク (Task)
  • 説明 (Description)

デスクトップアプリでは、主に最後の「説明」をフリーテキストで入れるUIとなっています。そのときに過去からの補完が効いて、プロジェクトやタスクを埋めてくれます。過去の入力履歴をクリックする方法でも入力できます。

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デスクトップアプリ - 画像は英語ですが、もちろん日本語入力できます。

運用ルール

我々の運用では「何に時間が溶けたのか」把握することが大切だと考えています。我々のグループでは、以下のルールでTogglを利用するようにしています。

  • まずは日常的に入力することが大切。
    • 正確にするのは振り返るタイミングで良い。
    • 業務中は忙しくてメモ程度にすることが多々あるが、それで良い。
  • 最終的に色分けしたプロジェクトに分類する。
    • : 時間を増やしたい業務
    • : やらないといけない業務
    • : 時間を減らしたい業務
  • 感覚的なやりたい・やりたくないを重要視する。
    • 色を分けるためにプロジェクトが重複しても良い。
    • 例えば「もっとやりたいミーティング」だってある。
  • 振り返るタイミングまでにプロジェクトを埋める。
    • 説明は適当でも良い。
    • プロジェクトの入力も後からで良い。
  • スプリントプラニングで振り返る。
    • 我々はKPTの一環にしている。
  • 批判しない。
    • 抜け漏れは気にしない。
    • 業務時間の絶対値で見ない。
    • あくまで未来の改善のために活用する。

色々ルールを書いていますが、結局「過去をおよそ3色に分ける」というのがゴールとなります。このようなルールで作られたレポートは以下のようなものになります。

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メンバーの記録 - この人はプロジェクトを推進できている

3色と言っていますが、中間色は分解が難しかったものですね。灰色は短時間のプロジェクトを合算したものです。色を見てチーム内で同一の理解ができれば、問題ないと思います。

なお、 「批判しない」というルールは重要 です。特にリーダーは意識しておく必要があります。もし総時間や内容の詳細に批判的な態度を取ってしまうと、それはただの監視であり、マイクロマネジメントであり、ディストピアとなってしまいます。

私の場合、基本的には円グラフしか見ていません。

計画への反映

Togglに業務履歴が集まってくると、一定の傾向が見えてきます。チームで利用すれば全員をまとめて見ることもできるので、更に傾向が分かりやすいです。そうやって振り返るときに、プロジェクトが散りすぎていると傾向が見えにくいので、整理するようにしています。

例えば、が多いなら、それは不健全な状態です。 例えばミーティングが多いなら、会議体を見直してみます。トラブルが多いなら、トラブルの原因を減らします。個人に赤色が偏っているなら、チームに負荷を分散します。

もできれば減らしたい領域です。自動化、コード化、ルール整備・・・ やらなければいけない仕事も何か改善できるはずで、青色が増えすぎたときは改善案を考えるようにしています。

が多いなら、それはチームが理想的に動いていると言えます。ただ、個人に偏りがないかは見ています。

期末・期初あるいはプロジェクトの終了後・開始前には、関連プロジェクトの総所要時間を確認しています。工数見積、人員見積の参考になります。(過去を批判しないようには注意しています) 見積もりが甘い人の場合は、自分の過去の記録の詳細を見ていけば、何故見積もりと実績がズレたのかを振り返られるかもしれません。

発展的な利用

着手したタスクの通知

我々のチームでは、Togglにタスク開始を入力すると、その内容がSlackに通知されるようになっています。

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Slack通知例 - プロジェクト名は後で入れるパターンですね。

これは以下のような目的で入れているのですが・・・

  • やんわりとこれから何をしようとしているか共有できる
  • アンケートなど、ついつい忘れがちな仕事に気付ける
  • トラブルや問い合わせなど、困りごとに気付ける

前提として我々のチームではWorking Out Loudを実践しているため役に立っている機能であり、その前提なしでは監視社会っぽくなってしまいますね。同様の運用をする場合には注意が必要です。

リブセンスはコロナ禍においてフルリモート体制に移行しましたが、このやんわりとした共有の効果もあって、インフラグループ内の情報交換はスムーズに行われています。

コスト計算

我々のチームでは時間あたりコスト(Billable)を設定しています。Togglの機能で利用できます。設定している数字は人件費等に対して全く正確ではないのですが、「時は金なり」を意識することになります。

その効果が最も活きるのは、有料ツールを選定するときです。

Togglは月額$9/人(Starter Plan)のコストが必要ですが、それは「一人あたり1ヶ月でxx分の工数削減ができるなら無料」と、コストを工数と比較して選定できるわけです。

一定のポジション以上の人は自然とできる計算だと思いますが、それをチーム全体で共通認識にできることは、改善を進める上で重要な指標となります。

まとめ

我々のチームでのTogglの利用方法、そしてチーム運営や計画への利用方法を紹介しました。

個々人がやってることは至極単純で、何かタスクを始めるときにTogglに記録すること、それだけです。

このような履歴情報は継続して記録し続けることが大切であり、記録するという行為をどれだけハードルを下げて実現できるかがポイントだと思います。