- はじめに
- 風化したエンジニア文化を発掘した
- 実際に起きていた課題感
- エンジニア文化の再定義合宿の計画
- 合宿のテーマは「エンジニア文化は必要か?」
- お昼の様子
- 午後の部:ABチームで異なる話し合いの方向性
- 転職会議エンジニアが大切したい価値観
- 転職会議エンジニアの課題観
- ワーク終了
- 飲み会の部
- 合宿をやってみて
- ワークショップ運営としての反省点
- 後日200問の長文アンケートを実施
- アンケート結果
- 合宿の感想を聞いてみました
- 感想から見えてきたこと
- まとめ
- 現在の Livesense 転職会議エンジニア
はじめに
転職会議事業部の 寺田 佳輔 です。
昨年12月に Livesense に転職してきまして。
フルリモート前提の組織での業務も、もう直ぐ一年になろうとしています。
前職でもエンジニア組織の文化についてエンジニアブログを書いてましたが、引き続きエンジニア組織の文化には興味があり色々と関わらせていただいてます。
今回はフルリモートで働く Livesense の開発組織で「いつの間にか風化してしまった、古いエンジニア文化を新しくリプレイス」する1Dayオフライン合宿を企画、実施しました。
計画方法〜実施方法、その後について知見を共有いたします。
風化したエンジニア文化を発掘した
Livesense の転職会議事業部のエンジニアチームは、2021年6月に定められた「転職会議 Engineer Value」という大切な価値観や文化を基に活動を行ってきました。
しかし、この「転職会議 Engineer Value」運用をリードする開発グループリーダーが事業部を異動し、現在残っている当時のメンバーが1人になってしまいました。
そのため、この存在をそもそも知らなかったり、どのような内容かも知らない人が大半になり、風化してしまいました。
実際に起きていた課題感
フルリモートの中で文化や共通認識のすり合わせを普段から行うことが無い為
以下の様な課題を大きくではなく、皆うすうすと感じている状況で日々働いていました。
- 以前までは障害発生時に祭り的に解決をしていた 雰囲気があったが、今は一体感があまりない
- 3チームに分かれており、他のチームの活動状況、困っている点が見えない
- リファクタリング、改善など利益に直結しない目標に取り組みづらい
- インフラと開発間のコミュニケーションや知見共有が少なく、別のチームの様になってしまっている
- フルリモート環境な為、事業部全体ミーティング外の交流が少ない
- エンジニア横断会議でも発言する人が偏ってしまっている
後々出てきた付箋でも同じ様な内容が多い印象でした
エンジニア文化の再定義合宿の計画
こうした状況を背景に「転職会議 Engineer Value」を再定義することで「チームの一体感をよりだすための手助けになるかもしれない!」
ということで、私と課題意識を持つメンバーでボトムアップ式にこの合宿の計画が始まりました。
そして今回、普段はフルリモートで働く私達ですがオフラインで集まる合宿形式で、この価値観を議論する機会を設けることにしました。
工数確保:組織として実施する意味とは
出発はボトムアップ方式で出てきた話でした。 しかし企業組織としてトップダウンで見た時にもエンジニア文化の明文化は非常に価値のあるものです。 実施するにあたり、全員の実施工数を抑える必要がある為、EMの落合さんが部長に説明する資料を作ってくれました、ありがとうございます!
この実施理由の説明などはどの組織においても共通する部分だと思います。 是非参考にしつつエンジニア合宿の実施を計画してみてください。
エンジニア文化の再定義をしよう!と思っていたが
過去の「転職会議 EngineerValue」の再定義を行うべく、課題感を高く持つメンバーで集まり、合宿の計画を開始しました。
どの様に発散し、収束するか、何を話すかを色々考えた上でオフラインで開催することも決定しました。
さらに人件費確保のための予算確保なども終えたところでしたが、チームの中で1つ疑問が生まれてきました。
私たちはエンジニア文化を再定義できる状態なのだろうか
一度の合宿で「転職会議 EngineerValue」を作り直す前提で当初計画をしていましたが、そもそもフルリモートで働く私たちはどれくらいお互いのことを知っているでしょうか。
また意見がズレた時ただしく議論できる信頼関係が築けているでしょうか。
意外と業務の話はできていても、思想や価値観の話になると話がまとまらないというというところが見えてきていた為、「EngineerValue を作り直す合宿の前に、現在のメンバーのことをお互いに知ることが先だ!」という考えの元、まずは発散の場として機能する様に合宿を計画しました。
エンジニア文化という表現を使わない、フラットに発散できるをテーマに1Day合宿
最初は「転職会議 Engineer Value」に代わる、新しい「エンジニア文化」を作ろうと言ってました。
しかし人によってエンジニア文化の指すイメージもまだ擦りあっていないため、先入観を持ってしまう抽象度の高い「エンジニア文化」という表現を避け
「開発組織の風土、文化、価値観、行動指針といった様な ”何か”」という表現を使い始めました。
「まだ何も決まってないです!自分たちで何を定義するのかから決めていきましょう!」という気持ちも込め、合宿をする上ではこの様な表現を採用してみました。
※ ただこの記事の中で、毎回その表現を使うと読みづらいのでエンジニア文化と記載します。
合宿のテーマは「エンジニア文化は必要か?」
運営チームとしては必要だと思っている人が集まって活動しているため、当然「エンジニア文化」が必要という前提で話してしまいがちでした。
しかし、メンバー全員がフラットに議論するためにも、目線を合わせて話すためにも、長期的に文化としてチームに根付かせて、文化を軌道に乗せるためにも、エンジニア文化の必要性を一人一人のエンジニアに考えてもらうフェーズが必要だと考ました。
そのため、エンジニア文化がそもそも必要かという議題で発散する方針になりました。
議論の結果、エンジニア文化が不要という結論になった場合も必要だと判断した場合の、それぞれの議論の方向性は決めたものの、まずは「エンジニア文化」が必要かに焦点を定めて進めました。
合宿で議論する上でのルールの明示
エンジニア文化が必要な場合と不要な場合、それぞれのNextActionを明示し
フラットに考えられる様な状況を作り以下のルールを周知して合宿を進めました(Miro のボードで作業しました)
エンジニア文化が必要か話す上でのヒント
突然必要かどうか話すのも難しいので話す上でのヒントを運営チームであらかじめ考えた上で、アイディアを出してもらいました。
具体的な進め方
- 皆がそれぞれ、自分にとって「風土、文化、価値観、行動指針」は必要かを発散する
- 必要な場合:「風土、文化、価値観、行動指針」の詳細を詰める
- 不要な場合:1ヶ月に1回コミュニケーションを取る計画ややり方を考える(飲み会など)
当日の様子
11時にオフィス に集合し、合宿開始! 転職会議エンジニアがこれだけ集まるのは年末の総会だけなので、非常に新鮮です。
議論の進め方は決めず、意見を元にお互いの本音で語り合う
前提、目的、ゴールを共有し、1つ目の議題「メンバーにとって開発組織の風土、文化、価値観、行動指針は必要なのか」について、2つのグループに分かれて議論を進めました。
進め方の詳細はどの様な意見がそもそも出るのか、不確実性が高すぎるため具体的には決めず、出てきた意見をもとに本音で語り合える様にあえて形式を決めず話し合ってもらいました。
エンジニア文化の必要性について議論
結論:エンジニア文化は必要
もちろん、運営チームとしても不要であるという意見を持った上で意見を発したり 全体の空気感で流されてしまい、少数派の意見が消されてしまわない様になどの配慮は忘れない様にしたいポイントで、その上で議論を進めてきました。
それでも、上記の付箋をもとに午前中議論した結果、最終的にはエンジニア文化が必要だという意見が多数であり、午後はそれを踏まえた受けで2つの方向性で議論する流れになりました。
お昼の様子
オフィスの下に入っているレストランで皆でランチタイムです。 タコスの様なメニューが中心でヘルシーで野菜がたくさん取れるメニューでした。
まだ半分ですが、ぐったり気味です(笑)。
午後の部:ABチームで異なる話し合いの方向性
必要かどうかの議論ができれば今回はそれで良いという状態で進めていたので おおむね目標は達成しました、そしてここからは大枠の方向性だけ決めていますが 具体的に何を議論するかまでは決めていません。
この時、皆が議論したい議題で議論できた。
これが正解だったかどうかはさておき、この時いるメンバーで何を話すべきか、話したいかを議論して 話す内容を決めて、チームAとBに分かれて議論することができたのは非常に有意義だったと感じています。
「自分が仕事において大事にしている価値観・文化」
Aチームは、各個人の目線でエンジニア文化が必要かどうかの意見を出した上で 自分が仕事において大事にしている価値観・文化はどの様なものが実際はあるのかについて書き出すワークになりました。
※ 途中経過(最終的な図はこの下にあります)
「転職会議のエンジニア組織について思うところ、こうしたいとか」
Bチームは、現状の課題ベースでエンジニア文化がうまく機能していたら解決出来そうな事を挙げたり うまく機能していないから起きている課題を書き出していくワークになりました。
※ 途中経過(最終的な図はこの下にあります)
各チームでの共有タイム
グループ内でのワークが完了したタイミングで、別のグループにテーマで話した内容のまとめを共有 別のグループで出たアウトプットを眺めて、感想を言ったり、こうなんじゃないかななどの仮説を立てたりする時間をとりました。
以下にその最終的なアウトプット結果を貼っておくのでよかったらご覧ください。
ここまでで、ワークショップで確保していた時間がきてしまったので終了し飲み会に進みました。
転職会議エンジニアが大切したい価値観
Aチーム主体で話していた、この様な価値観を大切にしていきたい、この様な状態でありたいという姿を語り合い付箋にまとめた結果は最終的に以下の様になりました。
転職会議エンジニアの課題観
こちらはBチーム主体で話していた課題点についてです。 私たちの弱点なので正直、ありのまま公開するのか悩みましたが、隠しても仕方がないので正直に公開してみています。
ワーク終了
ここまでで想定していたワークは全て完了し、いったん落ち着いたので飲み会までフリータイムになりました。
普段顔を合わせて話す機会の少ないエンジニアが1日、オフラインで議論したこともあってすでに疲労状態は限界でした。 16時からはオフィスでビールが無料で飲めるので飲みながら議論しましたが、ここで下手に収束しようとしたので、みんな疲労とアルコールで沈黙&頭が回らない状態でお通夜状態になりました。
「お酒を飲んで、真面目な話はしてはならない。」という当たり前のことを学ぶとともに、全く計画していない内容で話し始めてしまうと、議論の方向性を制御でき無くなってしまうと感じました。
時間に余裕が出来てもラフなコミュニケーションを取る時間として、真面目な収束に向かうのは避けたほうが良いと感じました。
普段口頭で会って話すことが少ないエンジニアの活動限界は5時間前後の様です(笑) 。
今後イベントを企画される方は是非5時間以内を目安に企画し
それ以降は業務時間中でもいったん忘れてコミュニケーションを楽しめるイベントを企画するのが良さそうです。
反面教師的に参考にしていただければ幸いです。
飲み会の部
私たちに必要だったのは、文化でも、行動指針でもなく飲み会だった。
ここまで入念に準備して、企画して、実施したものの、結局飲み会が一番お互いの思っていることを話せたのでは?と笑いながら話していましたが、私も同じ様に感じました。
ただ飲み会だけを目的に集まっても、ここまで良い飲み会にはならなかったと考えてます。
業務時間中にしっかりと議論したことで色々議論で話したことを飲み会で引用して話したり、本音が引き出せたりしたと考えて居て、しっかりと計画して合宿を実施したことは事業部や会社にとっても大きくプラスに働いたと感じています。
フルリモート環境で出社日も無く仕事に専念する事が出来ますが、この様なオフラインでの交流を4ヶ月に1回くらいやっても良いと感じました。
合宿をやってみて
発散で良い!ということを決めておいて良かったです。
通常業務において実際に起きた変化として、コミュニケーションの量やレスポンス速度の改善が見られました。
以前は、チームをまたいだコミュニケーションでレスポンスがなかなか返ってこず、仕事が進めづらいという声もちらほら聞こえてくるような状態でした。
開発合宿での話し合いやその後の飲み会で、一緒に働く人がどんな人なのかを直接理解できたことで、他のチームの人ともコミュニケーションが取りやすくなったように感じます。
合宿にも参加していたインフラGメンバーからもレスポンスが速くなったとの声が聞かれ、雑談部屋でも日常生活や趣味の会話がエンジニアから盛んにされるようになりました。
ワークショップ運営としての反省点
ファシリテーターの役割分担
今回のワークショップでは、ファシリテーター専用の人を用意して、全体の進行を俯瞰して見られる人が一人いたら良かったという意見がありました。実際には、当初の予定だったファシリテーターも重要な議論者の一人であったため、ファシリテーターとしての役割を十分に果たせなかった部分がありました。次回は、議論に参加しない中立的なファシリテーターを設けることで、スムーズな進行を目指します。
チーム間の共有タイミング
議論して居る内容が大きく異なるのが午後の状況だった為、共有のタイミングで脳の切り替えが難しかったという意見もありました。
しかし、もう少しお互いのチームで共有するタイミングがあれば良かったと感じています。
次回は、チーム間の共有タイミングを明確に設定し、スムーズな情報交換ができるように工夫したいと考えてます。
マイノリティーな意見の吸い上げ
特定の人が話し続けてしまう状況もあり、マイノリティーな意見が埋もれてしまう可能性がありました。2〜3人くらいで話す機会を増やすことで、より多様な意見を吸い上げることができると考えています。また、小グループでのディスカッションを取り入れることで、全員が発言しやすい環境を作っていきます。
目的とゴールの明確化
ワークショップの目的とゴールを明確に設定し、参加者全員に共有することが重要です。今回は、目的が二転三転したため、参加者が混乱する場面がありました。次回は、事前に目的とゴールをしっかりと設定し、全員が同じ方向を向いて議論できるように準備を進めたいです。
合宿を終えて、現在エンジニア文化の土台作り中です。
後日200問の長文アンケートを実施
価値観や大切にしていることや課題を参考にアンケートを作成し、それにどれくらい共感できるか、自分はどの様に思うのかを書くアンケートを実施しました。
アンケートの項目は合宿の中で出た価値観や意見に対してどの程度共感するかを書く200問以上あるアンケートになっていて
誰がどの程度誰の価値観に共感しているのかを実名方式で記載してもらっています。
以下は200問あるうちの1問です。
1問1問非常に考えて、自由記入のテキストも入れてもらいながら回答してもらいました(お疲れ様でした) よりお互いの価値観や意見を知るきっかけになり、フルリモート環境でもお互いを知る1歩を踏み出せるきっかけになったと感じています。
アンケート結果
意見の一致と不一致の確認
アンケート結果から、皆が同じ意見を持っている部分と、バラバラの意見を持っている部分が明確に分かるようになります。特にバラバラの意見については、もう一度話し合う必要があると感じています。温度感が異なると、良かれと思って言ったこともネガティブに受け取られてしまったり、努力が報われない形になってしまったりするため、課題のある不一致意見は直接話し合うのが良いと考えてます。
回答ごとに分散率を出していて、一番回答にばらつきがあったものがわかる様になってます。
多様性の尊重
意見を統一させることが目的ではなく、バラバラの意見を持っていることを全員で共有し、多様性を認められるような場を作りたいと考えています。異なる意見を尊重し合うことで、より豊かな議論ができると信じています。
ここで出た意見の対立は非常に価値のあるものです、これについて議論する場を設けて擦り合わせていけたらより良い開発組織を目指せると考えています。
改善アクションの決定
同じ意見の中で改善できるものがあれば、具体的な改善のアクションを決めていきます。これにより、組織全体としての成長を促進し、より良い環境を作り上げることを目指します。
合宿の感想を聞いてみました
今回の合宿を通じて、参加者から多くのフィードバックをいただきました。
「普段とは違う頭を使うワークだったので疲れましたが、皆さんとオフラインでしっかり議論する時間をとれたのは非常に有益でした。」
「別の形式だとしてもまた集まって話ができる場があると嬉しいです。」
「楽しかったです。定期的に顔を合わせて話する場があればと思います。」
「良い機会だったなーと思う。毎回オフラインは辛いけど同じことをオンラインだと難しい部分もあるよなぁとは思う。結論は正直出さなくてもいいかなとは思っている。」
「課題を明確にするのが大事そうだなと思いました。加えて、現状出ている課題とは別に機能するチームの状態を定義してから差分を埋めていく方法も良いなと思いました。(機能するチームは参考例が多いと思われる)」
「半年に1回など定期的にオフラインでエンジニア合宿やっても良いなと思いました。」
「スクラムの工数に入れ忘れていたので、工数的なところを気をつけたい。」
「やってよかった会だと思います。転職会議のエンジニアの方とはDrinkupやParkなど社内イベントでも会うことが少なく、初めてどんな人なのかを知ることができた気がします。」
「実際に話せたこと自体はエンジニアリング組織としてはすごくよかったのかなと感じてます。一方でみんなのこうありたいをまとめ、形にするのは結構難しいのかなとも感じてます。なので、こういう組織にしたいと強く思っている人がそれを提示するみたいな形でもいいのかなと思いました。」
感想から見えてきたこと
参加者の声から、オフラインでの議論が非常に有益であったことが分かります。普段はフルリモートで働いているため、直接顔を合わせて話す機会が少ない中で、今回の合宿は貴重な時間となりました。また、定期的に顔を合わせる場が欲しいという意見も多く、今後のコミュニケーションの取り方についても考える必要があると感じました。一方で、毎回オフラインで集まるのは難しいという意見もあり、オンラインでの議論の難しさも指摘されました。結論を出すことよりも、課題を明確にし、現状と理想の差分を埋めていく方法が重要だという意見もありました。
まとめ
今回の合宿を通じて、エンジニアリングチームの一体感をさらに強化し、より良いコミュニケーションと協力体制を築いていきたいと考えています。参加者からのフィードバックを元に、今後も定期的にオフラインでのコミュニケーションを取り入れ、チーム全体の一体感を高めていくことが重要だと感じました。
現在の Livesense 転職会議エンジニア
私たちはフルリモートという環境ではありますが、エンジニア文化について、エンジニアとしてLive(生きる)Sense(意味)を考え続けられる組織を目指してます。
今回の合宿で終わらず、どの様な文化でありたいのかを日々話し合いつつ、下半期ではドラッカーエクササイズの実施に向けて再度運営チームは動き準備をしております。
是非、新しく入る、あなたの価値観や大切にしたいこと、気持ちも皆に教えてください!
ご応募お待ちしてます!