LIVESENSE ENGINEER BLOG

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スクラムマスター研修参加と資格を取得して得られた知見について共有します!

これは Livesense Advent Calendar 2023 DAY 13 の記事です。

はじめに

転職会議事業部でエンジニアとして働いている@ishitan-livと申します。 現在、スクラムマスターも兼任しています。今回は、受けたスクラムマスター研修に関するエピソードを共有したいと思います。

今回書いた内容

目次通り、この記事ではスクラムマスター研修への参加と、エンジニアがスクラムマスターを兼任することで得た知見に焦点を当てています。 また、転職会議におけるスクラムやよくある課題については、別途記事として月内に公開する予定です。

スクラムマスター研修参加してきた話

今年の4月から、同じチームの前山さんからスクラムマスターの役割を引き継ぎ、スクラムマスター見習いとして活動しています。 新規チームの立ち上げではなかったため、スムーズに引き継げましたが、私のスクラムマスターとしての経験が浅かったため、順調に進まないこともありました。 そこで、スクラムについてしっかりと研修を受けることを決意し、事業部の予算で受講しました。

なお、前山さんは昨年のアドベントカレンダーで素晴らしい記事を書いてくれていますので、ぜひこちらもご覧ください。

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研修概要

研修内容は具体的な詳細を公開できない規約があるため、ざっと体験した内容にフォーカスしてまとめてみます。

日程: 3日間

初日が5時間、2日目が7時間、3日目が5時間のスケジュールでした。 この時間が認定試験を受けるための必須条件だそうです。

参加人数: 約20人

4つのチームに分かれ、それぞれが3日間にわたりスクラム研修を受けました。

講習内容
  • DAY1: 講習とスクラムの導入
  • DAY2: 1日中、スクラムイベント(リファインメント、プランニング、レビュー、レトロスペクティブ)を繰り返し
  • DAY3: 試験対策の講習と研修の総括 このように、講習と実習が半々の形で行われました。

特に2日目は、役割を分担してスクラムマスターとプロダクトオーナー(PO)を選出し、擬似的なスクラムを運営する体験がありました。 私は一応スクラムマスターの仕事も兼務しているので、今回はプロダクトオーナーを経験しました。

その中でプロダクトバックログやプロダクトバックログアイテム(PBI)の整理が非常に難しかったです。 即席のチームやプロトタイプのプロダクト、それらの開発優先度や順序を即座に決定するのは非常に困難でした。 上記のとおりPOとして振る舞うことは予想以上に難しく、普段POへ何気なく依頼していることも、もう少し判断しやすいように準備してからお願いしようと思いました。

POはプロダクトとその説明責任を担うため、開発者やステークホルダーの意見を考慮しつつ、プロダクトの未来についても考え続けなければなりません。 異なる立場で相互理解を促進するために、お互いの視点を体験してみることが重要だと感じました。 ただ、普段とは異なる思考プロセスを経験することは楽しいものでした。

研修で得たフィードバック

研修中は常にSlackやZoomなどを通じて講師やメンバーからフィードバックがありました。 今回、最も収穫があったのはこの部分かもしれません。 普段社内で当たり前に行っていたことが評価されたことは非常に嬉しく、特に以下の点が評価されました。

  • 初めからファシリテーションなどを通じて積極的に発言しやすい環境を整えたこと(メンバー)
    • スクラムやこの種のワークショップが初めてのメンバーがいたり、発言が難しい人にサポートを提供できた点が評価されました。
  • 全員が1度ずつ順番に発表するようにローテーションを組み、全員が参加するよう促したこと(メンバー)
    • 参加者がイベントに積極的に参加しているとの認識を得られ、最終的には楽しんでいただけたようです。
  • 発表後に能動的なメンバーに対して称賛の意を表したこと(メンバー)
    • 発表してくれたメンバーに対してポジティブなフィードバックを提供することで、次回も頑張ろうという気持ちにつながったとのこと。
  • タイムキーパーを担当し、タイムボックス内で有益な議論をまとめたこと(メンバー&講師)
    • スクラムでは時間配分が重要であり、そのサポートが評価されました。
  • POとして成果物の発表をした際に「非常に上手で興味を引かれた」との評価(講師)
    • POはプロダクトに責任を持つ立場なので、プレゼンテーションに力を入れたことが評価されました。

全体的に、積極的な働きかけにより即席のチームをうまく結束させたことが高く評価されたようです。 個人的には特に意識していなかったこともあり、評価されることは少し照れくさい気持ちもありつつ、 私くらいの年齢になるとなかなか褒められる機会が少ないので、嬉しい気持ちになりました。 そしてこのアプローチは継続していく価値があると感じました。

CSM(認定スクラムマスター)試験結果

さて、研修が終わるとScrum Allianceからメールで送られてくるサイトに登録します。 そこから受験できるCSM(Certified Scrum Master/認定スクラムマスター)の試験が本番です。実際にスクラムを経験していないと、概念だけを理解しても答えるのはなかなか難しいような内容でした。 結果として、全50問中、3問だけ誤答しましたが、無事に合格したので研修の成果も出せてホッとしています。

いただきました!

エンジニアがスクラムマスターを兼任することで得た知見

さて、実際にスクラムマスター見習いを半年ほど経験し、兼任することで得た知見を共有したいと思います。

兼任はしないほうがいいけど…そうもいかないよね

率直に言いますと、本来は兼任ではなく専任でスクラムマスターを配置するべきです(笑)。 しかし、組織全体にスクラムマスターだけの業務を行う余裕はないでしょうし、開発者などが兼任するケースが多そうですよね。 そのような方々にとってこんな変化があるかもといった体験を共有出来ればと思います。

チームやプロジェクトの全体像が見えるようになった

これはスクラムマスターをしなくてもできることではあります。 ただし、スクラムマスターとして活動することで、チームやプロジェクトに対する考え方が自然と変わることになります。 具体的には、スクラムイベントに意識が向くため、スプリント達成が可能かどうかを考えるようになりました。 また、デイリースクラムやリファインメント、プランニングの際には、PBIについてより詳しく掘り下げるようになり、プロダクトバックログにも注視するようになりました。 なぜなら、リファインメントやプランニングにおいて、PBIを適切に分割できているか、着手可能かがスプリントゴールの達成に影響を与えるからです。

これまでは開発者として「どのように実装(実現)するのか?」に主眼を置いていましたが、スクラムマスターとしての活動により、チームやプロジェクトに対する関心事が加わりました。 現在は、他のメンバーがPBIでつまずいているといった状況にも気づき、POやPdMに対して相談を持ちかけることもあります。 これにより、チーム内の連携が強化され、スクラムチームとプロダクトの成功に寄与できる手助けになります。

ファシリテーション力やまとめ力が高まり他のミーティングなどで活用できた

これはスクラムマスターとしての役割が、ファシリテーションを通じてチームメンバーのコミュニケーションを活性化させ、議題をまとめるサポートをすることに起因しています。 初めは副次的な効果だと考えていましたが、このファシリテーション力(私はこれを「ファシリ力」と呼んでいます)が他のスクラム以外のミーティングでも役立っていると感じます。 例えば、静まりがちで誰も発言しない状況などがよくありますが、自ら率先して他の参加者に意見を聞く、参加者の発言や思考を促す問いかけを投げかけるなどサポートすることで、ミーティングを円滑に進めることができます。 他のメンバーに意見を求めて声をかけ、全員が認識を揃え、ある程度の合意を得られるよう進めることも仕事の一環です。 全員の貴重な時間を無駄にするか、ネクストアクションまで決まった時間にするかは、この力にかかっていると言っても過言ではありません。

議題の本質を考えるようになった

先程の項で述べた「チームやプロジェクトの全体像が見えるようになった」に近い内容ですが、議題が出たときにすぐに問題解決に取り組むのではなく、まずは話を深堀りして聞いていくようにしています。 なぜなら、本当に解決すべき課題は実際にはそこにない可能性が高いからです。 特に抽象度の高い議題を提起するメンバーがいる場合、話の中で何について話していたのか、というのが頻繁に曖昧になりがちで、話が逸れたときに本来の焦点を整理する方向転換が必要です。 結論や議論自体はメンバーが担当すべきであり、スクラムマスターはサポート役として活動します。 このバランスが非常に難しく、私も未だに開発者の視点で自分の意見を言いがちなので、これについての向上心をもっていく予定です。

最後に

スクラムマスター研修は、アジャイル開発についての知識がある方なら比較的すぐに受け入れやすく、自分がスクラムマスターを目指さなかったとしてもおすすめです。 金額が高いため、気軽に受講できないかもしれませんが、スクラムを用いた開発組織を有効に活用したい場合は価値ある体験ができるでしょう。 そして、最も重要なのは、スクラムマスター研修を受けて資格を取ったからといって終わりではありません。

「スクラムには華麗に騙される。フレームワークの中でも一番理解しやすい部類なのに、ちゃんと実現するのは最大級に難しい。」 スクラム現場ガイド 著: Mitch Lacey

この言葉通り、自分たちのチームで理想的なスクラムを実現するのは非常に難しいです。 引き継ぎの話が出たときも、「本当にスクラムマスターとして頑張る意思はありますか?」と念を押されました。 それほどの覚悟をもって臨むべきものです。

私もまだ半年ほどの駆け出しスクラムマスターですが、来年から新しいチーム編成になりそうですので、今回の研修を元に良いチームを目指して頑張っていこうと思います。

おまけ

今回の研修を通して私が考える転職会議の問題点とその解決法を次回の記事で紹介していきたいと思います。 既に実践しているものもありますし、まだ解決に至っていない部分も多いですが、少しでも皆さんの役に立つように公開予定です。

では!