これは Livesense Advent Calendar 2023 DAY 18 の記事です。
こんにちは。 転職ドラフトでWebアプリケーションエンジニアをしております iwtn です。
今回このような機能をリリースしました。
国内のITエンジニアのアウトプットとして代表的なGitHubのリポジトリとQiitaの記事について要約を生成し、よりマッチした指名をもらう・していただくための機能になります。
ぜひお試しください!
別の記事でも書きましたが、今年は生成AI、特にプログラマにとってはLLMの話題で持ち切りでしたね。 書店でも「ChatGPT」がタイトルに入った本がずっと平積みです。
そんなChatGPT(というか、具体的にはOpenAIのAPI)を使った機能を実装していく中で、キャリアについて思ったことを書き残しておきたいと思います。
キャリアってそもそもなんだ
キャリアの定義として、最近読んだ本で良い定義を見つけたので引用します。
今年のノーベル経済学賞を受賞した、クラウディア・ゴールディンの著書の26、27ページからです。
「キャリア(career)」は、個人的ではないが、定義が難しくもある。「キャリア」という言葉は、レースを行うという意味のラテン語から来ている。「戦車(chariot)」と「馬車(carriage)」も同じ語源だ。キャリアは人生の「コース」または歩みであり、一定期間の継続が必要だ。「キャリア」という用語は、単に雇用されているという意味ではない。一般的にキャリアは進歩と忍耐強さを伴う。そこには、学習、成長、投資、利益の獲得が含まれている。本書で追跡する女性にとって、キャリアの定義は、長く働けて、人気の高い職種—作家、教師、医師、会計士などであり、それが自分のアイデンティティを形作ることが多い。キャリアは、必ずしも最高の教育学位を取得直後に始まるのではなく、人生の後半に現れることもある。
前半にある「キャリアは人生の「コース」または歩み」という部分が、特に刺さりました。
足跡、戦車や馬車という比喩を考慮すると、轍と言ってもいいのかもしれません。
そこから考えられるのは、なにか「跡」を残さないと、キャリアになり得ないのではないか、という仮説です。
引用の後半にある「キャリアの定義は、長く働けて、人気の高い職種」という部分にも注目です。 「人気が高い」とは、つまり一定の耳目を集められるように、公開されている必要があります。 少し残酷な話ですが、誰も注目しない仕事というのは、キャリアになり得ないという意味でもあります。
デジタル時代はキャリアを残しやすい?
デジタルデータの記憶装置は年々安価になり、インターネットや各種サービスの普及で、公開しやすくなりました。 特にITエンジニアは、このテックブログもそうですが、技術記事であったり、ソースコードまで公開しておくことができます。 また、プログラミングの成果そのものである、Webやスマホのアプリなどの動くものまで公開可能です。
ただ、そういった電子的な記録は、旧来の紙媒体よりも今のところ寿命が短い問題はあります。 10年前に公開されたURLが、そのまま参照できるように残っていることは少ないです。 技術同人誌や技術書など、紙媒体でのアウトプットに一定の需要があるのは、そういうところもあると思います。 書籍は、単体で情報を残せるという点では大きなメリットがあります。
例外としては、GitHubが行ったソースコードを北極に保存しておくプロジェクトなどもありますが、これは外から読めないのでちょっと違いますね。
しかし、アーカイブされたことはGitHubのアカウントにバッヂとして見れるので、これもキャリアの一部として誰かに評価されるかもしれません。
生成AIでアイデンティティが脅かされる?
最初に引用した文章に「それが自分のアイデンティティを形作ることが多い。」という記述があります。 GitHub Copilotのような自動でプログラミングしてくれる仕組みは、プログラマのアイデンティティを脅かすものと見られることもあります。 しかし、Copilot、副操縦士という名前のとおり、コーディングの補助をしてくれるのであって、実際のキャリアまで作ってくれるわけではありません。
コーディングするだけがアイデンティティというわけではなく、機能する仕組みを作るということが、ITエンジニアのアイデンティティだと思います。 そういった意味では、生成AIは良い友達であり、競合する存在というわけではありません。 そんな思いもあって、今年のRubyKaigiで、ノベルティとして「AIは友達!怖くないよ!」というステッカーを作った覚えがあります。
キャリアとはアウトプットも積み重ねること
もちろん、オープンソース活動や技術記事を書くことだけが、アウトプットではありません。 良いプロダクトを作り、事業や社会に貢献することが、何よりのキャリアになります。
また、技術系のコミュニティに登壇・参加することもその一助になります。 書籍やデータとして記録されたものだけでなく、人の記憶も残ります。
しかし、全く外から見えないと、なかなか評価されることが難しかったりもしますので、IT技術を用いて上手く一般に公開された状態での「アウトプット」を残していきたいものです。 生成AIも、世の中に価値を提供していける手段として活用し、その結果として自分の日々の仕事やアウトプットができ、キャリアとして残っていくのが良いかなと思っております。